近場で観れるところがもうすぐ公開終了。
行けそうなのが今日しかなかったので、行ってきました。
なぜだか朝からずっとひじから先、手の甲までの筋に痛みが走る中だったので、集中しきれないところも…。
あと、上映中にビニール袋をガサガサいじる奴が毎度必ず同じ列に(隣じゃないけど)来るのに閉口。
まず一つ・外から食べ物を持ち込むな。
さらに一つ・予告編やってる間に食い終われ。
あと一つ・そういう見かたをしたいなら、家でDVDかCS放送でも観てなさい。
以上。
『春との旅』
仲代達矢、大滝秀治、淡島千景、菅井きん等々、豪華高齢ベテランキャスト陣。
高齢はよけいか。
でも、それが映画の主軸だからってことで。
20歳になろうとする孫娘と二人暮らしをしていた老人(仲代)が自宅を飛び出す場面から始まる。
セリフはなく、延々、引きとめようとする孫娘を振り払い、黙々と不自由な脚で歩き続ける老人。
時に車に轢かれそうなほど強引に道路を渡ってまで、振り切ろうとする。
結局、ふたりは行動を共にする。
目的は、彼の兄、姉、弟に会いに行くこと。
会って、自分の面倒をみてもらうことが目的。
孫娘・春は小学校の給食を作る仕事をしていたが、廃校になったため仕事がなくなってしまった。
登場人物は(姿は見せない人も含め)その他、
老人の娘で5年前に自殺した、春の母、
母が自殺する前に出ていった父と再婚した片耳が不自由な妻、
最も仲がよかった弟の内縁の妻ら。
あらすじを書くと長くなるので割愛。
何しろ上映時間144分だ。長いぞ。
撮り方がちょっと変わってて、会話をする場面で二人一緒に画面に入れずに片方は壁に隠れたまま、もう片方の動きだけを固定カメラで追っているなど、あまりカメラを動かさない印象。
ワガママな老人に振り回される孫娘、
それでも、やはりおじいちゃんを切り捨てられない孫娘。
旅を続けるうちに、もともと住んでいた家に帰ろうということになるも、その矢先……。
厳しくも優しい言葉を語る姉役の淡島千景の場面は、それまでの場面から比べるとホッとするところ。
姉ちゃんはいつまでも姉ちゃんなんだなー。
弟も期待どおりしかられて、うれしそうだし。
いちばん仲がよかった弟の内縁の妻・田中裕子は、人前では明るくふるまい、芯はしっかりしてるのだけど幸薄いという役が似合うなぁ。
折り合いが悪いもう一人の弟とは取っ組み合いのけんか。
でも、その妻や弟は、本当に兄を嫌っているわけではない。
家を出ていった元・娘婿とその再婚相手から厚意を示されるも、
それを頼ることは出来ないという気持ちになっているのは、
その前に姉ちゃんの家に行ったからか。
きょうだいと疎遠になっていたけれど、完全に嫌われて縁が切れたわけでもない関係。
むしろ本当は好かれていたのかも。
なんとなく、それぞれに、きょうだいに迷惑をかけたくないと思っているがために自分の現状を知らせないでいるというのも、そういうことかと。
孫の春も、振り回されつつも、最後にはじいちゃんを受け入れ、最後まで面倒をみる覚悟を決めるし。
単線の鉄道が出てきたりフェリーが出てきたり民宿だのホテルだのも出てきて、旅する映画と言えなくもないんだろうけど、いわゆるロードムービーってわけではないと思う。
なんだかんだで、じいちゃんは幸せ者だな。
ベテラン役者たちの演技が面白い映画だった。
孫娘・春役の子、最初はどうにも地味で…と思っていたけど、
途中、うつむき加減ながら力強い表情で思い出した。
『フラガール』で、主人公の友人で、父親に猛反対され夢半ばで夕張に家族で引っ越していく子を演じた人だわ。
記憶に残るとか、存在感があるって、こういう役者さんのことなんだろうな。