2011年06月04日

映画『エクレール・お菓子放浪記』

4月1日4月8日に少し書きましたけど、3.11東日本大震災で被災した宮城県石巻市周辺で撮影を行った映画『エクレール・お菓子放浪記』
前売券を買ってあったのですが、5月21日の公開後、ようやく行けました。
テアトル新宿では6月17日(金)までです。
各地映画館のほか、ホールでの単発上映会も多数計画されていますね。
詳しくは映画公式サイトをご覧ください。
テアトル新宿は土曜日、8割くらいの入りでした。
平均年齢は50代・60代以上が多かったかなぁ。子連れもいましたが、若い人同士は少なかった印象。
戦争孤児の映画ということもあるだろうし、石巻の震災で失われた風景が見られるということで話題になったと思うのだけど、これが多いのか少ないのかは不明。
実は私の仕事業界でこの映画を後援してます。
それもあるので、お客さんがどれくらい集まるのかは気になるところです(笑)。


以下、感想。
結末を含むので、これから映画を見る方はご注意を。
全体としては、孤児となった主人公がひとりで生きる中での出会いを通じて、必死に生き抜くお話。
おなかをすかせてお菓子を盗んだ自分に、菓子パンをくれた刑事、
感化院(現在の児童自立支援施設の前身)で歌を教えてくれた先生、
自分を引き取った養母、
働きに出された映画館の経営者、
旅回りの芝居一座の人々、
自分と同じ孤児たち…。

戦争で食べ物のなかでも特に甘いものが貴重になっていく時代。
お菓子の甘い味は、ただ食べて嬉しい・おいしいだけのものではなく、
主人公の少年にとっては、自分に優しくしてくれた人たちとの思い出も併せ持っているのです。
歌に出てくるエクレールは、少年にとっては、先生がくれた本で見ただけの幻の、憧れの味。
それまでに優しくしてくれた人たちとの思い出と重なるもの。

主人公を演じた子、歌うまいね〜。
歌を教えてくれた先生よりうまいぞ(笑)。
11歳の子なんだけど、孤児の気持ちを理解するために、1ヶ月間の泊まり込み撮影に、親同伴でなく一人で臨んだそうな。
この子の存在なくして映画成立せず。
泣かされましたよこの子(とロケ地の風景)には。

先生、どこかで見たと思ったら、「戦国鍋TV」大阪ハイスクールの淀君じゃないか。
あのコーナーでも歌ってたな、そういえば。
声にあまり深みがないので、見た目以上に若く感じる。

最後、死んだと思っていた先生と再会したまではよかったけど、
「結婚した」というナレーションには驚かされましたよ…。
いい驚きじゃなく、悪いほうの。
先生若く見えるけど、結婚して旦那は広島で死亡したという未亡人。
てっきり、養子縁組して家族になるのかと思ったら…。
出会いから2年くらいたっている設定ではあるのだけど、見た目どうしても無理がある。
終戦後、孤児たちのグループのリーダー的存在になっていたとはいえ、やっぱり「子ども」にしか見えないんだもの。
これ、先生が男性で主人公が女の子だったとしても、無理があったと思う。より犯罪っぽい(笑)。
西村滋の自伝的小説が原作だけど、この部分も実話なんでしょうかね?
いや、それにしても。
一緒に感化院に入った、いちばん兄さんぽい人、あれくらいの見た目だったら、まだ何とか…。

決定的に受け付けなかったのが、エンドロールの歌!
相川七瀬は嫌いじゃなかったです。でもこの映画には合わないですよ。
映画の雰囲気が台無しで残念。
上映前にも流れていたけど、主人公が歌う『お菓子と娘』そのままか、それのインストだったら良かったのに。

画面としては、非常によかったと思います。
公式サイトにロケ地マップがありますので、是非ご覧いただきたい。
葦が茂る川、旅一座が「金色夜叉」を演じた(面白い場面もあり)芝居小屋等、
震災直後の写真を見せてもらっていたので、覚悟はしていたけど、見ていて辛いものでした。
地元の方でエキストラとして参加した方にも、犠牲者がいらっしゃると聞いてますし。
あれが丸ごと流されてしまったのかと…。

ただ、そのことを事前に知ってたからか物語の設定まで石巻のような気がしてしまい、空襲後、一瞬頭の中が混乱してしまいました。
菓子パンをくれた刑事の家も感化院も主人公がひきとられた老婆の家もお世話になった映画館も、場所は「東京」です。
話の中にも石巻は出てきますけどね。
旅の一座から別れて、よく生きて東京までたどりついたものだ。

赤紙がきたのを苦に自殺した一座の看板役者、
腕をなくした傷痍軍人となって物乞いをしている、かつての感化院の鬼教官、
死にそうになっている傷痍軍人の傍らで、持ち物を狙って待っている復員兵、
米兵にすり寄るパンパン、
様々な人が集まる闇市。
細切れだけど、戦争の辛い部分をずいぶんたくさん組み込んであった印象です。

というわけで、お菓子職人になる物語ではなく(笑)、
人との出会いが人の成長にいかに影響するかという物語でした。
posted by エマ at 21:28| Comment(2) | TrackBack(1) | 映画・舞台話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めましてこんにちは、ハクと申します。

ボクも今日この映画を見てきまして、検索をしていてここに辿り着きました。
と言うのも、ボクも最後の「結婚した」というナレーションに驚いて(´ω`;)結婚て...
実話なのかどうか調べていたのです。
なるほど、自伝的なものなんですね…

ボクもやっぱり主人公が子供にしか見えなくて…(・ω・`)
実話ならしょうがないのかな?と思いつつも、違和感ありまくりでした。
主人公は子供ですし、大人のやさしい女性への憧れが恋となるこはよくあると思います。
ただ先生は本気にしちゃうんですか…(´д`;)!?
と、言う感じです。

ただ個人的には最後の曲は良いと思いました。
お菓子と娘はもう聞き飽きt(ry

ですがこの映画で被災地の以前の姿が見られたのは本当に良かったと思います。
一刻も早く復興が終わり、以前のような街並みや賑わう人達であふれることを願ってやみません。
では長文失礼しました(・ω・)ノシ
Posted by ハク at 2011年08月19日 21:19
>ハクさん

こんばんは。コメントありがとうございます。
衝撃のエンディングでしたよね(笑)。
あれから原作も読みましたが、あの部分は事実ではありません。
原作の基本精神を守ってくれるなら監督が多少アレンジしてもよいと、そういうことだったそうです。
ちょっとホッとしました(笑)。
最近、上映会を手伝う機会に再び映画観ました。
石巻市長さんのビデオメッセージ、変わってしまった風景、そして美しい風景。
多くの人の心に訴える、映画には力がありますね。
Posted by エマ at 2011年08月22日 00:22
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Excerpt: 「エクレール・お菓子放浪記」★★★ 吉井一肇、林隆三、高橋恵子、 遠藤憲一、早織、いしだあゆみ出演 近藤明男監督 105分、2011年5月21日より全国順次, 日本,マジックアワー、『エクレール・お..
Weblog: soramove
Tracked: 2011-07-28 08:54
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