2012年03月18日

天翔ける盗賊〜石川五右衛門

「天翔ける盗賊〜石川五右衛門」(東京グローブ座 2012年3月9〜11日)

【五右衛門一派】
石坂 勇(石川五右衛門)
初嶺麿代(孔雀)、高橋良輔(斬太)、棚橋幸代(おこん)、谷山知宏(捨吉)、月 登(鯱)、宇井源秀(犬丸)、三原玄也(喜十)

【阿国一座】
えまおゆう(出雲阿国)、神崎 順(三九郎)、水野杏奈(お菊・お夏)、神田祥子(お峰)、杉山奈央(お菊・お夏)、水瀬かなみ(お小夜)、上野礼子(お玉)

【武将たち】
魁三太郎(豊臣秀吉)、岡崎高子(光成の娘・雪姫)、伊藤 順(黒田屋俵兵衛)、松元信太朗(石田光成)、石田信之(千利休・明智光秀)
小林大介(前田玄以)、杉浦功兼(仙石権兵衛)、藤田信宏(薄田隼人)、小松雅樹(松野主馬)

【伊賀の残党・薄田の家来】
次賀慎一郎(百地百太郎)、佐藤靖朗(ふくろう)、中村京太郎(木猿)、渡辺智史(鳥)

俳優さんの序列は無視!(笑)
関係で並べてみたらこんな感じ。
この顔ぶれで一体どんな舞台になったのか?!
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『石川五右衛門』あらすじ

天正10年(1582年)6月2日、明智光秀により本能寺にて織田信長討たれる。
明智は羽柴秀吉らの謀略によって信長を討ち、そして、自らもまた、秀吉の謀略により山崎の合戦に於いて討ち破られ最期を遂げる。明智の忠臣であった石川五右衛門はその事実を知り秀吉に一矢報いんと、残党狩りを逃れたった一人で秀吉に戦いを挑んで行く。
その手段として、秀吉に取り立てられている豪商や、役宅へ次々と忍び込み、財宝を奪い、その財宝を貧しい民達に分け与えていった。嫌が応にも五右衛門の人気は上がり、秀吉への反発が起こりはじめた。その事を愁いた秀吉側近の石田三成より五右衛門とその一党を捕えろとの厳命を受けた前田ら配下の者達は、五右衛門らの隠れ家を見つけ出し強襲する。
散り散りになり、五右衛門は子分の捨吉、斬太と出雲の阿国一座の小屋へ逃げ込み、亡き主君明智光秀と親しかった千利休と出会い、秀吉も招かれているという、利休の催す茶会に変装して出席させてもらう事となる。
そこで五右衛門は、ある日追われた際に逃げ込んだ屋敷の庭先で、思わず一目惚れをしてしまった石田三成の息女雪姫と再会する。茶会の途中、配下の者に正体を見破られた五右衛門は、雪姫を盾にし逃亡するが、利休は、五右衛門との間柄に激怒した秀吉の手に掛かり殺されてしまう。出会った日以来、やはり五右衛門に想いを寄せていた雪姫であったが、「必ず奪いに来て下さい」との言葉を残し、捕えられていた五右衛門の子分おこんとの交換に身を呈し、その場の窮地を救う。
阿国の小屋へ戻り、一同に会した五右衛門達は、犠牲を出しながらも曝されていた利休の首を奪還する。しかしてそこで、秀吉に見初められた雪姫が伏見城の落成に伴い側室に上がらされる事を知った五右衛門は、秀吉の元から、愛する雪姫を盗み出す決心をする。
そして伏見城落成の当日、阿国の計らいで一座に紛れ込み城内へ入り込んだ五右衛門は、大立ち回りの末その腕の中に雪姫を抱く事に成功するが・・・・。
(引用終わり)
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今回はどういう客層なんだろうなぁと思ったのだけど、始まるまでの間、横のほうで「歌劇」を読んでるおばあさまを見て納得。
そうだ、元タカラジェンヌが出演してるんだもんな。
あとは舞台関係者(とその友人知人)が多そうな感じもする。
若い人ばっかりっていうんでもないし、女性ばっかりっていうんでもない。
結構幅広い年齢層の人たちが集まってた気がする。

史実が少ない石川五右衛門。
故に創作しがいがあるのだろうね。
明智光秀、豊臣秀吉、石田光成、前田玄以等々の武将も登場。
虐げられる農民が五右衛門と行動をともにし暗躍するも、追われ、やがて処刑される石川五右衛門。
釜炒り(釜茹で)にされるところは描かれなかったけど、そこに至るまでの物語は、「義」と「愛」が軸になっていた。
元タカラジェンヌが出てるからか宝塚のパロディもあったし(ベルばらの「愛あればこそ」の替え歌と踊り)、3回もある阿国歌舞伎の場面はどれも趣向が違うけど宝塚的な華やかさ。
阿国が舞いながら歌ってるところは宝塚の男役の歌いっぷり(笑)。
舞台スタッフに「ジャグリング指導」とあるのが気になってて『まさか大立ち回りの場面で刀パスとか…』と思ってたのだけど、違う違う(笑)。
阿国一座のアトラクションでしたな。3場面で全部違うのがすごい。
この場面だけは客席は「石川五右衛門」ではなく「阿国一座」を観ている客席。
劇中劇のような感覚だね。

五右衛門は役者さんの魅力もあってすごくカリスマを感じた。
百姓(あの時代の百姓はいざとなると武装するわけで)が付いていきたくなるのも納得の説得力。
一派で集まる、息を抜ける場面では仲間同士で和気あいあいとしたところがあるのも、いい場面。
豪商の黒田屋が狂言回し的立ち位置で身体張ってた(笑)。
物語の合間にちょいちょい入る笑いについては、ベタな感じなんだけどわかりやすくてよかったんじゃないかと。
珈琲の違いがわかる男とか、十六小節のラブソングとか、ふんどしとか、鼻メガネとか。
セリフもあまり時代がかり過ぎずわりと現代的で、とっつきやすいものになってたと思う。

様々な立場の思惑が絡み合い、一筋縄ではいかない。
それは、それぞれが自分が信じる生き方をしているからなんだな。
その結果、無念に散る者もいる。
騙し騙され。
五右衛門一派の場面が和むのは、皆が五右衛門を慕って、五右衛門も付いてくる仲間を信用しているから。
信じる力というのは、シンプルに、温かいエネルギーを生むよね。
武将たちの場面でも、コミカルな場面ではそういう空気が出ていた。

さて、良輔氏演じる斬太(ざんた)は、本人のキャラクターに近い役だったんじゃないかと思う。
「義」の熱いエネルギーにあふれた五右衛門に惚れ込み、仲間になる村人たちの一人。
様々な局面を一緒に乗り越えてきた仲間・捨吉が死んだ時、誰よりも悲しみを隠さなかった。
まっすぐで、いい役だった。
ホールの空間に負けていない。
五右衛門の迫力に負けていない。
いい芝居だった。

今回は、本格的な殺陣と舞の一歩、時代劇やレビュー畑の役者さんたちといい出会いだったんじゃないかな。
今後に繋がっていくといいな。
引き出しを開けたというより、新たに作ったという感じなのじゃないかと思う。
これからどんどん引き出しに詰め込んでいってくれたらと期待している。

阿国一座の2回目の場面(桜舞)。
2011年劇団なんでやねん「RING WANDERING」アフタートークで共演者から「演出つけずに立ち稽古してみたら一人だけ芝居が昭和だった。大衆演劇かと思った」と言われてたけど、衣装着てるとまさしく大衆演劇にいそうな…(笑)。
あの場面、斬太としてはあれが精一杯ということなんだろうけど、もうちょっと舞って欲しかったよね。
見た目については手ぬぐいやら着流しやら、やっぱり似合っていただけにね。
あれで舞らしい動きが少なかったのは惜しい。
まぁ追われる身だから目立っちゃいけないんだけど、杉良太郎ばりに目で殺せていたかもしれないのになぁ(笑)。
斬太&捨吉コンビでは、捨吉がキャラ立ちしすぎてたね。
練習場面では斬太のほうが筋が良さそうだったのに、本番までに捨吉とお菊ちゃんの特訓がはかどったんだと解釈。
捨吉みたいに女性陣に紛れて舞う、ああいう隠れ方もあるのだね。

五右衛門、捨吉、黒田屋、三九郎を演じた人たちはそれぞれ、今後いい機会があったら他の仕事も観てみたいなぁ。
そういえば、終演後ホワイエに一部の出演者さんたちが出てきていたんだけど、百太郎役の方に聞いたら、頭の弾で出来た一本道は実際に剃って作ってたそうで…。
思いきってるなぁ。すごい。

休憩15分を挟み、2時間30分予定の舞台なのだけど、いつも押していたと思う。
10日昼の部、初めて観た時は全体的に少しテンポが間延びしている印象を受けた。
仕方ないんだろうけど、何か次の動きが入る時、少しずつタイミングを待ってしまっているような。
そういう点では、夜の部は少し早くなっていた気がする。
その分テンポよく感じた半面、セリフを噛む人も増えたような…。
11日昼の部は三九郎がガッツリ噛んでいて「噛んだわよ!」「噛まないようにちゃんと教えるのよ!」他アドリブで笑いにしていた。
この場面に限らず、10日と比べて、全体的にアドリブが増えた印象。
時間が長い上動きが多いし1日2回公演で疲れがたまる頃だろうけど、千秋楽はまた違うエネルギーがわいてくるからなのかなぁ。
千秋楽の「やりきる」感というのがまた、いいんだよなぁ。
役者さんたちはどの回もその時その時の精一杯を見せようとしてるだろうけど、同じことをしていても、余力のさらに一歩先の力を感じる。
こういうの、舞台に限らずだけどね。

東京グローブ座は半円形の客席が舞台を囲み3階席まであり、空間がとても広い。
後ろのほうの席でも後ろ感が少ないのはいいけど、1階席の段差が少なめで、特に前のほうの席になると役者さんが近くて迫力ある半面、舞台全体の様子がつかみにくいので、選べるなら1階横通路より後ろにしたいホール。
オープニング映像(事前にYouTubeに上がってましたね)があるのだけど、あれ、前の席の人はほんと見づらかったろうなぁ。
以前ここで最前列だったことがあったんだけど、いろいろと極端な席だと思って懲りたもんなぁ(笑)。
今回は5列目、26列目、2階席と様々な方向から観劇。
通路側だったのだけど、通路も使う演出だったので、役者さんたちが横を走り抜けた時、風を感じた。
そういう演出たまにあるけど、自動的に割り振られた席でもなぜか通路側か通路に近いことが多いので、ちょっと得した気分になる。

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そういえば、これは暗黙の了解で「無い」ことにするものなんだろうけど、今回やたらスモークマシーンの音が大きかった気がした。
ホールの大きさ、それこそ100人未満の狭いところから1000人規模のところなど色々な大きさの会場でスモーク使ってるの観てきたけど、聞こえる時と聞こえない時とある。
今回は何度か使う場面があるのだけど、これがセリフとかぶってると、セリフが聞き取りにくいことがあるのが惜しい。
現代の技術をもって、どうにかならないものなのかなぁ。

興行的に気になったのが、先月、ちょっと確認したいことがあって問い合わせ先に電話した時のこと。
主催団体連絡先で担当者名も書かれてないのに、いきなり個人名で電話に出るのはどうなのか。
個人の電話を団体の問い合わせ先にしてるのかな? それにしても、舞台の告知したら終演までは団体優先にするとかなぁ。
まぁ、たま〜にこういう人いるけどね…役場でも会社でも、内線のつもりで外線に出てる人とか。

もっと気になったのが、言葉の最後に必ず「(笑)」がつくこと。
公私いろんなところに電話するけど、笑うような話題じゃない時に語尾に苦笑失笑系の笑いをつける人に出くわすことは、まずない。
こういうイベントものも例外ではない。
仕事の問い合わせ電話受けて、こんな調子で返答してたら顧客失くすよ。
受け答えがこんなんじゃ「この人まじめに会話する気あるのかな?」って思うよね。
友だちじゃあるまいし、いちいち注意するほどのことではないからしなかったけど、社会人として気になったのでここに書いておく。
普段からこういう癖があると指摘されたことがある人は、本気で気をつけたほうがいい。
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11日マチネは時間が出来たので当日券で観に行った。
カーテンコール、五右衛門役の石坂さんが阿国役のえまおゆうさんにも挨拶をふっていた。
エンターテインメントの世界に生きる人間として、大震災を機に感じたことと、役者さんたちが出来ること等。
感極まった様子だった。
震災後のエンタメについてはこのブログでも当時から時々書いてたので、見返していただければ。

本格的殺陣あり、宝塚的華のあるレビューあり、笑いあり涙あり、客席通路や2階バルコニーも使っての、エンタメ時代劇。
ちょっと空席が目立ったのは残念。
時代劇だからなのかなぁ?
私も時代劇は剣劇よりも捕り物が好きなんだけど、やっぱり殺陣の迫力は様式美として見応えあるし好きなんだけどなぁ。
10日だけ観るつもりが11日の昼も観に行ったのは、チケットを買うのが何よりも役者さんの応援に繋がると思ったからだ。
14時46分を客席で過ごした。
いろんなことを思いながらの観劇だった。
posted by エマ at 19:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・舞台話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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