2012年08月04日

「新撰組あと始末記」

「新撰組あと始末記」(博品館劇場 2012年6月20〜24日)
【新撰組隊士】
坂本直弥(ON/OFF):土方歳三
坂本和弥(ON/OFF):沖田総司
高橋良輔:斎藤一
絲木建太(PureBoys):市村鉄太郎
鼓太郎:近藤勇
ヨコタシンゴ:山崎烝
   
【官軍】
武智大輔   栗本修次  ピカル源氏(歌田裕一)
山口峰範  中村京太郎  宇井源秀  佐藤邦洋  小松雅樹

【元池田藩士】
初嶺麿代:江戸家老・榊原桜子(セリーヌ)、月ゴロー:大目付・前田作之進(ジョアンナ)、横道 毅(花組芝居):側用人・中尾正二郎(美豚:ヴィトン)、次賀慎一郎:留守居役・佐伯兵庫(ソフィア)、小島弘基:奏者番:岩村隼人(マリアンヌ)、木庭博光:勘定奉行・瀧川亀之助(シャネル)、篠谷 聖:小姓・伊原鉄太郎(フランソワ)

永倉大輔:芹沢鴨、棚橋幸代:お梅、尾上菊紫奈:前田園、上野礼子:前田綾
友井雄亮:勝海舟
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『新撰組あと始末記』あらすじ
鳥羽伏見の戦いで破れ、甲府での戦いにも敗れた新撰組の面々が再起をかけ 「あの人の元へ行こう」と向かったその先は…。
和希太平作、演出の現代劇、話題の「THE FAMILY・絆」が、時代劇に、しかも新撰組で!
そして、今回の“スウィートキャッツ”の面々は、元池田藩のれっきとした侍達。
おまけに、ママは、暗殺されたはずの新撰組初代局長、芹沢鴨!
(引用終わり)
--------------
日本史の中でもファンが多いと言われる幕末、それも新撰組。
歴史が大きく動く時代だもんね。
ドラマチックですよ、そりゃ。

ただ、今回は普通の時代劇ではなく、殺陣はあるけど、ダンスや歌もあるという触れ込み。
「世界一ポップな新撰組!」

…うーん。

…謎!(笑)

元の作品がヤクザものと知り、どうにも気持ちが萎え…。
(昔堅気のヤクザなのか、今時チンピラ犯罪集団なのかによるけど)
ただ、やっぱり自分で観てみないと何とも言いようもないわけで。
事前公開された宣伝画像、第1弾が主演2人と殺陣師によるイメージビデオ、第2弾は稽古風景。
第1弾はロケで新撰組イメージ映像、第2弾は稽古場の様子で、どう観てもフレンチカンカンな曲と振付。
「尻上がり」ね。たしかに。
共演者の衣装がドレスなのを観るにつけ、舞台そのものも一体どうなるのか、怖いもの見たさに…(笑)。

舞台は、土方、沖田、斎藤、市村が箱館での最後の決戦前夜、酒を酌み交わし過去を回想する形で進む。
(この際『あれ?』とか思ってはいけない)
思いだすのは、粛清したはずだけど実は生きていた芹沢鴨とお梅が経営するショーパブでの出来事。
芹沢鴨はママというか、オーナーだね。
なんだかんだでかくまってもらえることになったものの、そこは男性が女性の格好をして客にレビューを見せるキャバレー。
新撰組一行(山崎除く)5人も「働かざる者食うべからず」当然のように女装で働くはめになる。
ショーパブ出演中の元池田藩士たちの素晴らしいドレスとダンス、スキンシップを図ってくる客、勝手の違うウェイトレスの格好に耐え切れず脱走も考えるが、土方の説得によって、困難に立ち向かうことを決心する隊士たち。

とにかく場面がめまぐるしい。
元・池田藩士たちによるダンスの場面は、客席もショーパブの客のように歌とダンスを楽しむ形式。
フランスのムーランルージュを日本にも、ということで作られたので、おフランスな歌とダンスがたっぷり。
フレンチカンカンほかアラビア風だったり、何風かもよくわからないんだけどとにかく派手。

池田藩の皆さんは化粧もガッツリで、ザ・女装って感じ。
ショーが終わった後、楽屋で着替えながら語り合う場面があるのだけど、小島さん演じる岩村はクールなイメージ。
他の人たちとは少し距離を置いているというか。ショーパブにこういう人いるかも的な。
妙に麗しくて、着替えてる場面は、観ちゃいけないものを観てしまった気分に…(笑)。
バレエレッスンの場面もきちんとやって見せるからこそ、その後に続く人たちの様にならなさが笑いに生きてくる。
篠谷くんは素の顔より思いのほかかわいらしい仕上がり。
腕回り見ると明らかに男なんだけど、ちょっと下っ腹がポッコリしてて、それが筋肉の上にうっすら脂肪が乗った的なリアルな女子っぽさを感じさせ(笑)。
ショーパブだと、かわいいかわいいってモテるタイプだろうなー(笑)。
でもつい観てしまったのが、次賀さんのガチガチの二の腕と腹筋。
そして張り付いた笑顔とまぶた全体に塗られたブルーメイク(笑)。
こちらはこちらで、筋っぽさが、男が女装した姿としては一番リアルな感じでね〜。
他の皆さんも、思い切り踊ってるので、きれいとかカッコいいとかもはやそういう言葉ではなく、ただただスゴイ!ことになってました。
ダンスの種類が多いし衣装も毎度違うし、本当にショーパブかもっていうエンタメな感じでしたねぇ。
池田藩の場面で語るに外せないのは、元タカラジェンヌ・初嶺磨代さんでしょう。
男として育てられた女の役で、ショー場面ではセ・シ・ボン、パダン・パダンなど歌も聴かせるし、踊りもセンター。

ショーが終われば中身は武士。
元池田藩士たちは、ヨーロッパ視察のための経費という借金返済のために働いていた。
既に藩は無く、武士の世ではないけれど、国に残した妻子のために働く。
そこに新撰組隊士たちが逃げ込んでくるわけだ。

腹をくくって続けてきた藩士たちと、今加わったばかりの隊士たちの戸惑い。
池田藩の人たちも最初は新撰組隊士たちみたいだったんだろうね。
まぁ腹くくってても「武士」が抜け切ったわけではないんだけど(笑)。
最初から仲良くやれたわけではなく、池田藩士からの新撰組へのレッスン洗礼場面は面白かった。
女装姿で出てきた池田藩と違い、途中からフリフリになる隊士たちの変化も面白い。
出オチ感満載な斎藤一、ラスボス近藤勇といった感の登場の仕方。
ちょんまげ月代にふりふりって、笑うしかないもんなぁ。ズルいよなぁ(笑)。


さて、良輔氏演じる斎藤一、印象的だったセリフが一つ。
最後の戦いを前に酒を酌み交わす場面での一言。
「俺は、古い人間でいい」
時流に乗れていなくてもいい、自分が信じた道を生き切りたいってことね。
ホントまっすぐな役合うよなぁ。
3月の石川五右衛門の感想に「今回は、本格的な殺陣と舞の一歩、時代劇やレビュー畑の役者さんたちと、いい出会いだったんじゃないか」と書いたけど、実際こうして繋がってるのが素晴らしい。

あとセリフで印象的だったのは、双子の兄さん直弥くん演じる土方さん。
芹沢局長を頼ってきたら女装させられ、沖田、斎藤、市村が相談して逃げようとしたところへ、局中法度を語り、留まるよう土方が諭す場面。
「一度逃げると、また困難から逃げる癖がつく」細かいセリフ覚えてないですが、意味を成さない法度に縛られてるのではなく、侍として困難に直面しても逃げずに立ち向かうことに、隊士たちの気持ちが切り替わる大事な場面。

この後、隊士5人による歌で第1部を締めるんだけど、歌の場面は皆、格好こそ水玉サーキュラースカートにふりふりエプロンだけど、武士の生き様見せてやるって感じで実に男らしかった。
5人とも歌うまくて声もよくて、気持ちの上で大事な場面でありつつカッコよく盛り上がって終わるのがいい。
ここのところの良輔氏の腕っぷし(空手じゃないんですから)やらマイクスタンド使いやら、いちいち様になるんだわ。
カンフェティLIVEトークで「細くなりたかった時もあった」みたいなこと言ってたけど、むしろマッチョでいてくれてよかった。ギャップがあるからよけい面白くなる。
ダンスでも上げた足がつま先まできちんと伸びててきれいだった。
ダンスと言えば、最後に新撰組と池田藩勢ぞろいでカンカンを踊る場面、みんな張り付いたようなやけっぱちなような思い切りの笑顔の中、土方がずーっと無表情なのが面白かった。

休憩後の2部冒頭も歌始まり。
土方・沖田がマイク持って歌い、そのまま箱館のシーンにつながっていく。
もう何でもあり(笑)。
テーマソングは二つある。PVのBGMで聴いた時は正直うーん…と思ったのだけど、舞台の流れの中で聴くといいね。
双子さんたち、身体は細いんだけど声量はあって聴きやすい歌。

芹沢鴨マスターのハスキーボイスも実に良かった。
マスターが考えてくれてるはずで、結局発表されなかった新撰組隊士の源氏名が気になる(笑)。
裏設定あったとしたら斎藤一は何だったんだろ?何かこう、ギャップあるやつがいいな。
そういえば池田藩士たちは源氏名よりも本名のほうがほぼ出てこなかった。
いちおう裏設定はあってパンフにのってたけど、役職名で呼ばれるのが多かった印象。

官軍とワルツ踊るはめになり名前を訊かれた近藤さんのついた嘘「レディーガガです」「ローラです☆てへぺろ」「きゃりーぱみゅぱみゅです」等々。
他にも違う名前名乗ってたのかもしれないけど(笑)。

今回ショーの場面と同じくらい見せどころの殺陣。
誠の旗も使っての立ち回りを見せた良輔くんは動きが大きくキビキビしてて遠目でも彼とわかる。
剣が伸びていた。これが「切る」んでなく「斬る」ことなんだろうね。
皆さん気迫を発してて素晴らしかったけど、官軍で斬られてひっくり返る小松さんも凄かった。いや、出演者の中では結構年上だろうに。
でも出来たらもっと観たかったな〜。

池田藩の人らがカンカンを踊っているところに官軍に追われた新撰組・山崎が逃げ込んでくる場面。
あそこの音楽の切り替わり、千秋楽はとてもよかったと思う。
それまで観た限りでは、いつもカンカンの音楽が途中でドリフのコントっぽくなってフェードアウトして山崎が逃げ込んでくる感じでタイミングも音楽もしっくりこなかった。
このタイミングが千秋楽は一番自然だったと思う。
私の感覚ではフェードアウトじゃなくて、池田藩の人たちが踊っているところに銃声がして音楽が止まる→山崎逃げてくる、という感じのほうが緊迫感が増したんじゃないかと思った。
山崎の壮絶な討ち死にの殺陣はよかった。
舞台はここから急激に緊迫感を増す。
近藤は板橋で刑死、土方、沖田、斎藤、市村は武士として討ち死にする。

アフタートーク。
舞台裏での秒刻みの早替えが今回の舞台成功のカギだったということなのだけど、基本、踊る場面がほとんどだった池田藩の人たちは皆衣装の下はストッキングとTバック履いてたそうで、舞台裏では後ろから見ると裸みたいな男たちがうろうろしてる状態だったそうだ(笑)。
新撰組隊士もストッキングの上はピンクのタンクトップ(近藤さんは袖まくりしたTシャツだったかな)で、ちゃんと侍の格好してる時も下はそのままだったと思われ…。
うーん(笑)たしかに異様な雰囲気だったかもしれない。
舞台上では敵同士でも、舞台裏では早替えにつきそうなど、体育会系チームワークの舞台だったそう。

稽古中にヒール靴を履いて踊っていたところ、脚のむくみがすごい。
「ものすごく女子の気持ちがわかる面々ですよ」的なこと言ってたのは誰だっけ。鼓太郎さんだっけ。
「気づいたらスカート回っちゃってて、あれ骨盤歪んでるらしいですよねー。女子あるあるですよね」みたいな、すっかり気分は女子だったのが篠谷くんか(笑)。
ヒール履いてダンス、慣れないことをハードにやっていたら血豆が出来たと。
殺陣稽古で足裏の皮膚がやぶれたとも。
足の裏だけでなく爪先や踵やふくらはぎなんかも痛くなると思うんだけど、それでも舞台上では笑顔なんだな。
殺陣は笑顔じゃないけどさ。
すごいよなぁ。
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「女装」といえば、男性が毛を剃るとかストッキングやヒール靴やスカートを履くとか化粧するとか、いくつもハードルがある。
でも実は髪型が大きな要素だったんだな。
池田藩の面々も新撰組の前で女のふりをするために、カツラ被ってたもんね。バレバレだったんだけど(笑)。
隊士たちが水玉スカート履いて出てくる場面(ウェイトレスエプロン姿)、沖田や土方の細いこと!
細い上に土方、市村は月代剃ってないし、沖田もポニーテールだからまだしも、きっちり髷姿の斎藤…その上にフリフリ乗っけてるのは反則(笑)。
その上背中広いからアメリカンスリーブ似合うしさ。「わけわかんないですよ!」ってセリフがあるんだけど、まさに同感(笑) 。
化粧も池田藩士ほどにはしてないし、スカート履いてても立ち居振る舞いや中身はガッツリ武士で男なんだよね。
今回は女の人みたいというよりは、面白い格好をした男たちって感じだったかな(笑)。

全体的には、やたらビアーだのワインだのが出てくるので、ものすごく飲みたくなる舞台でしたね…。
なので帰宅してから飲んでました(笑)。
おいしい赤が家にあってよかった。
出演者も舞台で汗かいたあとはビール飲んでたそう(笑)。

元作品がやくざもの、そんなんであまり「絆」強調されてもなーと思ってたのだけど、実際観てみたら、かなりめちゃくちゃな設定なのに意外と自然でしっくりきたな。
時代劇効果か? 時代も設定も滅茶苦茶な中にも、立場の違う侍たちそれぞれの誠の心や男気が中心を貫いてたと思う。男気は女にも。
迫力があって派手で面白くて悲しくて。
盛りだくさんで楽しい舞台だったなぁ。

華やかなエンターテインメントと殺陣と武士の誇りが組み合わさったハイブリッド作品は、思いのほか体育会系でした。


そうそう、これは書いておこう。

ある回でチケットもぎってもらう時に止められ、ちょっとトラブルがあったので席を換わってほしいと言われてね。
「隣だからいいでしょ!」て言われたんやけど、ま、たしかに見え方はそう変わらないと思うけど、隣の座席、別に壊れてるふうでもなかったし、ダブルブッキングかと思いきや結局誰も来なかったんだよね…。謎。

3月の石川五右衛門の時もそうだったけど、WAKI組の舞台はアンケート用紙を配付しない。
客の感想知りたくないのだろうか?
すごく小さい会でも大きな会場でも、アンケート用紙は配るところ多いけどね。
ロビーが狭いからなのか?いやしかしロビーそのものがない会場でやってたって、アンケート用紙あるよ。
なんか何か独特な感じなのよね…。

あと、会場の使用刻限と上演時間や後片付けから逆算すると仕方ないのかもしれないけど、夜公演の開演時刻が18時30分なのは早すぎた。
もう30分遅かったら、夜観に来れる人増えたかもしれないのに。
まぁとにかく、千秋楽は立ち見が出るくらい満員御礼でよかった。それ以外の回は知る限り…。
すごいことをやっているのに、本当にもったいなかった。
タグ:高橋良輔
posted by エマ at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・舞台話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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