2012年08月19日

「死刑弁護人」

先日、ポレポレ東中野で「死刑弁護人」観て来ました。

これは死刑も当然では…と思えるような記憶に残る凶悪犯の弁護を数々手掛けてきた安田好弘弁護士のドキュメンタリー。

死刑廃止か存続か。
安田弁護士自身は廃止論者だけど、この映画はそういうの抜きにして考えたほうがいい。

私自身は、「死刑になりたい」と言って重大犯罪を引き起こす人がいる以上、死刑に犯罪抑止力があるとは思えないけど、
現行の法制度で死刑が確定し、再審請求も出てない状態で何年も執行せずにいるのは、法務大臣の職務怠慢と思う。
裁判員になったことがないからこう思うのかもしれないけど。

犯人に適切な罰を与えることと、
その犯罪がなぜ起こったか、どうしたら類似の犯罪を今後出さないように出来るか明らかにするためと、
加害者が自分がした犯罪に向き合い、贖罪の気持ちを引き出すためには、裁判に時間がかかってもやむをえないと思うし、加害者の弁護人はそのために必要と思う。
被害者になったことがないからこう思うのかもしれないけど。


真実を明らかにすることは犯罪の事実を無にするに非ず。


それにしても、光市母子殺害事件の最高裁弁護を引き受けた後、カミソリ入りの手紙が送られてきたシーン。
ああいう手紙を送り付けてくる人物は、一体どういう層の人たちなんだろうな。
自分に関係ないのに「他人の為に怒れる正義の人」のつもりで、やってることは脅迫行為。
もし開封する時怪我でもしたら、傷害罪でしょ?
無自覚なところが恐ろしい。
多分、五輪の時「感動をありがとう」「なんだ金メダルじゃないのか」と臆面もなく口にする層なんじゃないかと想像してみる。

こういう内容なので笑い所など一つもないと思いきや、大阪の天神祭の場面で村上ショージが「ドゥーン!」を連発する姿がちょっとおかしかった。
東海テレビ、わざとか?
天神祭を描写するためのチョイスとしてソレでよかったのか?


アフタートークで、映画作家の想田和弘さん登場。
ポレポレの前に行ったシアターイメージフォーラムで予告編やってた「演劇1&2」のプロモーションのためにニューヨークから来ていたそうです。
アフタートークのことをあまり深く考えてなかったのだけど、なんという奇遇。
5時間くらいある大作だそうだけど、予告編はひたすら平田オリザのいびきしか記憶になかったです…(笑)。
で、私が観た後の回の「眠れぬ夜の仕事図鑑」のアフタートークに登壇してから東中野に来たようです。
これまた奇遇(笑)。

ドキュメンタリーを撮りたいリストを常時20人程度持っているのだけど、安田弁護士はそのかなり上位にいたとのこと。
「よだれもの」の人物なんだそうで…変な意味でなしに。
テレビのドキュメンタリーは大きい番組になればなるほど上の決裁を何人も通らねばならず、その分口も出されて、時間順に並べたシーンをカットしたりつぎはぎしたりで原形をとどめなくなってしまう。
自分に決定権がないのが嫌で、テレビディレクターを離れ、自分で監督するようになったとのこと。
その、付箋でやるつぎはぎ指示を、本当に嫌そうに「ペタペタ」と呼んでたのが面白かった(笑)。
監督曰く、今回の「死刑弁護人」はテレビ制作にしては映画的なのだそう。
例えば、安田弁護士が在来線の中でノートPC画面に向かっている様子がオープニングの映像なんだけど、ナレーションが一切ない。
テレビだったら、ここに安田弁護士の名前や年齢などをかぶせるところだと。
…たしかに容易に想像できる。でも無いほうがリアルだよなぁ。
想田監督バージョンも見てみたいものです。

「死刑弁護人」ポレポレ東中野では8月31日まで。
でも結構あちこちで短期間上映されてるようです。
http://shikeibengonin.jp/
posted by エマ at 21:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・舞台話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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