2008年02月23日

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックを感じる一日

ロートレック展東京ミッドタウン六本木六本木の東京ミッドタウンにあるサントリー美術館で開催中(〜3月9日まで)の「ロートレック展」に行ってきました!

昼過ぎくらいに到着。
なんかちょっと場所がわかりにくいですね(^^;
きっぷをもぎられて中に入ると、エレベーターで4階へ。
サントリー美術館自体が3階にあるので1階上に行くだけですが、流れでエレベーターに乗りましょう。

最後の出口前のショップで画集が2,300円で売られてましたが、コンパクトだけど分厚くて重いので、迷った挙句買いませんでした。
(参考までに作品リストを。PDFファイルです)

場内は、必ずしも制作順には展示されておらず、テーマごとの掲示。
今回のチケットや広告に採用されているオルセー美術館蔵「黒いボアの女」が最初に出迎えてくれます。

電車の広告だったか新聞だったかで見て『ああまたやってるのかぁ』と思ってたのですが、だいたい『行きたいなぁ』と思っていると、NHK「迷宮美術館」で取り上げてくれるという(笑)タイムリーな展開が、昨年6月のモネの時に続いて再び(笑)。

ロートレックの著名な作品が目白押しでした。
19世紀末「ベル・エポック」と呼ばれ、文化が濫立したパリの雰囲気を感じさせる、ムーラン・ルージュをはじめとしたダンスホールやカフェのダンサー、歓楽街の娼婦たちをモデルにした数々のポスターや油彩のほか、当時の映像も観ることができます。
中にひとつ、メトロの出口が写ってたんですけども、今でもパリのメトロへ降りる階段の入口は同じデザインですよね。
活気にあふれた人々の姿に、歴史を感じます。

ポスター芸術というと、日本でもしょっちゅう展覧会があるアルフォンス・ミュシャも人気ですが、ロートレックも人気ですよねぇ。
ジャヌ・アヴリルの立ち姿(片脚を膝のところでひっかけるように掲げたポーズでおなじみ)は、何度観たかわからないくらいだもの。
どちらも、ポスターだけに広告用の文字もデザインのひとつとして構成されているのが特徴ですね。

ポスターのほかにも油彩や水彩、習作なども観て改めて思うのが、「省略することの難しさ」。
絵筆をスッスッと走らせてるのか、線描が多いんですよね。
塗り残しも多く、しっかり色を乗せた作品は少ないです。
ポスターのリトグラフでも、下地の紙の色を生かしたものが多く。
その分、1本1本の線の強弱の使い分けが巧みで、線も色も少ないけれど、人の姿は大変リアル。
同時代の他の画家の絵も少し展示されてるのでわかりやすいけど、すべてが曲線で表されているというか。
歌手やダンサーの手足はなまめかしく伸び、今まさに動いている瞬間を切り取ったかのよう。

ベッドに沈む娼婦の絵は、ただ横たわっているのでなく、沈むようにベッドと一体化している。
その“沈む”様すら見えるような。

描いたのは他にもいろいろだけど、人によって筆致を変えてあるんですね。
例えば「自動車運転者」。
たしかロートレックのおじさん(?)だったか、親戚のおじさんなのですが、当時の車は屋根がないからものすごく服を着込み、ゴーグルをつけて身を縮めたガチガチの姿。
くどいまでに黒い線描で塗られた姿が“必死”さを表しているかのようなのですが、その背後で、ドレスの御婦人が小さい犬を散歩させてすれ違っているんですよね。
その優雅さとの対比が滑稽で(笑)。

自転車レースの絵も有名ですけど、同じくらいの時代を描いた「名探偵ポワロ」でも、当時流行した自転車レースが描かれたことがありました。あれは『ゴルフ場殺人事件』でしたっけ???ああ思い出せない…。

「青い外套を着てマフ(って言うんでしたっけ、筒状の毛皮で手を温めるやつ)をつけた御婦人の絵、上半身しか描かれてないけど、何をしているところでしょうか?」というクイズがNHK「迷宮美術館」で出されてましたが、正解は「スケート」!
…足元描いてないから、説明されないとわかんないですヨ(苦笑)。
背景もほとんど空白だし。何かいろいろ書いてあってもフランス語は読めないし(爆)。
まぁそれはさておき、この御婦人と、歓楽街の女芸人たちとの描かれ方の違いというと、「線」だと思うんですよ。
いかにも上流そうな御婦人は細く硬い線でかっちり描かれ、あっさりした印象なのに対し、
娼婦や女芸人たちは大胆な太い線の強弱で曲線を描かれ、官能的。

この「官能」を味わうには、油彩よりもポスターかなぁ、やっぱり。
官能的じゃないのもありましたけどね。
上から紙吹雪を散らす「紙吹雪(コンフェッティ)」、ロートレックの中でも好きな絵のひとつですけど、あれは別に官能は感じないですし(笑)。

NHKの番組中では尊敬するドガ(ああ、ドガの画風も私、好きですねぇ)に憧れ追いつこうとするあまり、同じモデルを使って同じような絵を描いてモデルにプレゼント、「ドガの絵の横に並べてほしい」なんて言ったとかでドガに酷評されたというエピソードが紹介されてました。
ゲスト出演者たちは「ロートレックがかわいそう」なんて言ってましたが、そうかぁ?
ドガにしてみたら、自分に対して尊敬とか憧れとか目標とか(あるいはライバル視かもしれないけど)プラス感情を持った若手とはいえ、同じモデル使って同じような絵を描かれても(しかもそれをモデルにプレゼント)、困惑するだけじゃないの?
当時はなかった言葉だろうけど、若いロートレックの自意識過剰な行動は、心理的なストーカーみたい。
それはオマージュとは違うでしょうよっていう(もちろんパロディでもない)。
「描くなら違うアプローチで自分を表現しろ」っていう、ベテランからの忠告を含んだ酷評だったんじゃないかなと思いましたよ。

その後ロートレックはモンマルトルの娼婦街に入り浸り、そこで生活し、数々の作品を生み出した。
最期はもともとの成長障害やら、アル中やら梅毒やら(これは自業自得だけどさ)で30代で死んでしまうけど、その頃まだ存命だったドガは、ロートレックの才能を認める発言をしたというんだからね。

展覧会には、500円で音声ガイドの貸し出しもあります。
私はなんとなく借りなかったんだけど(笑)、そうやって、絵そのものを観て感じることを優先するか、
その絵の背景を注釈されながら、知ることを優先するか。
自由に観ればいいんです。

観終わって出てきたのが午後3時半くらいでしたかねぇ。
美術館入口に行列が出来てて、入場制限をしているらしいのにビックリ!
会期も後半、残り少ない土日はこれからますます混雑するでしょうね。
平日は夜8時までやってるそうなので、都合がつく方は平日に来るのもいいかも。

観終わった私は、ものすごくお腹がすいてたので(笑)、地下1階のガレリアで何にしようか迷った挙句、石焼ビビンバとパチヂミのセットを食べてきました。
石焼ビビンバとパチヂミセット
美術展の後だし写メる空気でもないしってことで、絵にしてみました。
絵にしてどうする。
しかも帰りの電車の中で。
水平が出てない上線も字もヨレヨレだけど、ポイントがたくさんある揺れる路線で座れた暇つぶし+記憶補助と思えば、まぁ…いいかってことで(笑)。

六本木ということで、外国人もたくさんいました。
各国の食べ物が目白押し、スーパーもあって、かなーり心ひかれたけども…この近くか、せめて地下鉄1本で行き来できるんでもないと、ちょっとキビシイなぁ(^^;;

地下鉄は六本木駅のほかに乃木坂駅も徒歩圏内。
いちばん近い入口も、ちょっと開けていて雰囲気はあるんだけども、やっぱりベルエポックのパリと違って風情がないなぁ。
日本もいっそ、入口を数奇屋造にするとかしたらいいのにー(笑)。


posted by エマ at 21:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 博物館・美術館 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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